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燃料電池の種類
(1)アルカリ形燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)
水酸化カリウム(KOH)水溶液を電解質とした燃料電池は、100℃以下の低温で作動させることができ、しかも反応性が高いという特徴があります。しかしながら燃料中にCO2などの酸性ガスが存在すると電解質に吸収され、反応性が低下してしまいます。このため、この種の燃料電池に供給する燃料は純水素が使用され、アメリカアポロ宇宙船やスペースシャトルの電源への採用例に代表されるように特殊用途での実用化に寄与してきました。
(2)固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)
電解質に固体高分子膜を使用した燃料電池です。これも最初は、宇宙船の電源用として開発され、電解質に水素イオン導電性のポリスチレン樹脂膜を基材としていましたが、現在はアメリカのデュポン社が開発したNafionRが採用されています。この膜の開発によって性能が大幅に向上しています。
(3)リン酸形燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)
リン酸を電解質とする燃料電池は最も開発が進んでいます。多孔質の炭素板の片面に白金系触媒を塗布した2枚の電極間に、液体状の濃厚リン酸を含浸させた炭化ケイ素のマトリックス(リン酸を含浸保持させる基材)を挟んだ構造となっています。動作温度は190〜210℃程度で運転されます。
(4)溶融炭酸塩形燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)
MCFCは第2世代の燃料電池と呼ばれ、第1世代のPAFCに引き続いて開発が推進されています。MCFCの主な特徴は作動温度が650〜700℃、PAFCのように白金触媒を必要としないため、触媒被毒の心配がなく燃料の多様化がはかれること、PAFCより高い発電効率が得られることなどが挙げられます。溶融炭酸塩を含浸した電解質板をアノード及びカソードで挟み込み、各電極の外側に集電を兼ねたセパレータが設けられています。この単位セルを積層して電池本体を製作します。電池への燃料供給方式として、天然ガスなどの燃料を別置の改質器を経て供給する外部改質方式と、燃料改質装置を特別設けず、燃料電池の内部に改質触媒を保持して燃料を改質させる内部改質方式に分けられます。
(5)固体電解質形燃料電池(Solid Oxide Electrolyte Fuel Cell:SOFC)
電解質として、リン酸水溶液や溶融炭酸塩のような液状物質の代わりに、イオン導電性を有する固体材料を用いたSOFCの開発が進められています。 SOFCは作動温度が約1000℃で、電池内部の材料が全て固体(セラミックス)で構成されているため電解液による周辺材料の腐食、電極の溶出などによる性能劣化がないという特徴があります。
(6)ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)
一般にメタノールを燃料として直接用いる燃料電池のことを、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)と呼んでいる。
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アルカリ形
(AFC) |
固体高分子形
(PEFC) |
リン酸形
(PAFC) |
溶融炭酸塩形
(MCFC) |
固体電解質形
(SOFC) |
原料 |
水素 |
都市ガス、
LPG等 |
都市ガス、
LPG等 |
都市ガス、
LPG、石炭ガス等 |
都市ガス、
LPG石炭ガス等 |
作動気体 |
水素 |
水素 |
水素 |
水素、
一酸化炭素 |
水素、
一酸化炭素 |
電解質 |
水酸化カリウム |
陽イオン交換膜 |
リン酸 |
炭酸リチウム
/炭酸カリウム |
安定化ジルコニア |
イオン伝導種 |
水酸イオン |
水素イオン |
水素イオン |
炭酸イオン |
酸素イオン |
運転温度 |
常温
〜約100℃ |
常温
〜約100℃ |
約200℃ |
約650℃ |
約1000℃ |
発電効率 |
45〜60% |
40〜60% |
40〜50% |
45〜60% |
50〜60% |
開発段階 |
宇宙船に実用されている |
試験研究
〜実証段階 |
商用化段階 |
試験研究
〜実証段階 |
試験研究
〜実証段階 |
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